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松本竣介を訪ねて
 先週2日間休廊し、青森の八戸市と盛岡へ行きました。目的は松本竣介です。かねて実物を拝見したいと願っていた「りんご」と八戸のO画廊さんで対面し、翌日、岩手県立美術館の松本竣介・舟越保武展示室へ行きました。
 
 まずはO画廊さんで「りんご」にご対面、これはほとんどの画集、著作物に掲載されている有名な作品です。「俊介」から「竣介」へと改めた昭和19年の作品で、「竣介」とサインが記されています。
 とにかくすばらしい作品で、線、マチエールどれをとっても古典名画に負けていません。おそらく愛児莞君を描いたものでしょうか、並の画家ですと自分の子どもを描くと私小説的な甘さが絵の格を下げてしまうのですが、それは微塵も無い、ビシッとした格調の中に普遍的な愛が満ちあふれているまさしく名画と呼べる作品です。
 この作品との別れ際、この名品を在庫にしているO画廊さんはすごい と思うと共にいつの日か私も・・・、と闘志が湧いて参りました。精進せねば!!

 岩手県立美術館では、松本と舟越保武が同じ展示室で飾られており、私自身は至福の時を過ごしました。竣介の代表作はもちろんすばらしいのですが、舟越の石彫がまたすごい・・・、”上質な芸術”という言葉がピッタリです。
 松本の作品は戦中がほとんどであり、芸術家にとっては非常に厳しい時代であったことは間違いありません。そんな中で制作された作品は、決して声高ではないがどっしりとした存在感があり、その絵から発するトーン(? うまく言えません)が心の奥底に沁みて来て、きれいに洗ってくれているような感じを受けます。
 そんな松本の作品と、終生彼を敬愛していた同級の舟越の作品が静かにハーモニーを奏で、とてもすばらしい空間になっていました。

 今回は作品を見に行くだけの旅になるかと思いましたが、思わぬ収穫がありました。竣介のデッサン「風景(銀座)」を手に入れることができたのです。O画廊さんで見てオーナーに売ってくださいと頼んだところ、相模原に帰った翌日OKの返事がありました。わざわざ八戸まで出かけた私を気の毒に思ったのでしょうか・・・ 何にしてもうれしいぃぃぃ!! 近日中にホームページでご紹介いたします。

2003/11/17






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